始めることとやめること

キャリアを構築する上で「やめる」ことがどれほど重要か、考えたことがあるでしょうか? 新しい挑戦を始めるとき、「始める」ことに心が躍る一方で、「やめる」ことには抵抗を感じるものです。しかし、最近私は、キャリアを豊かにするために、始めることと同じくらい「やめる」ことが大切だと強く感じています。
私が人材育成の道に足を踏み入れたのは34歳のこと。まずはリソースを身につけなければと思い、仕事に役立ちそうなものや興味のあるものは積極的に学んでいきました。
その結果、民間資格がずらりと並びました。
ファイナンシャルプランナー、コーチ、キャリアデベロップメントアドバイザー、ストレスマネジメント士、NLPマスタープラクティショナー、システムコーチ、DiSCファシリテーター・・・・・まだまだあります。
もちろん、現在までの仕事として役立っている資格はありますし、学び自体は全てリソースになっています。
しかし、全ての資格を活用できているわけではなく、今後も必要なものとは限りません。資格や学びには、コミュニティも付随してきます。中には、社会からの期待に応えるためのものもあったのですが、あれもこれもと続けるうちに、負担を感じるようになりました。また、限られた時間とエネルギーを、人生を豊かにするために本当に必要なところに集中させる必要が出てきたのです。そこで、少しでも手放したいことを、まずリストアップし、「これは本当に必要なものなのか?」と自問しました。惰性で続けてしまったいることも、実際ありました。
そこで、近年少しずつ、資格や学びを手放すようになりました。
しかし、ここで気付いたのは、「始めるよりやめる方が難しい」ということです。
元来好奇心が強く、何かを始めるフットワークは軽く、気持ちもワクワクします。しかし、やめるのは不得意。資格や登録団体の継続停止の手続きを進めようとしては躊躇。それを何度も繰り返しました。
この春もひとつの学びとひとつの資格を手放しました。両方ともキャリアに役立つものなので、後になって後悔することがあるかもしれませんが、その分、空いたスペースや心の余裕は着実に他のものにまわすことができています。
以前、マイコーチに「空いたスペースができると新たなものが入ってくる」と言われたことがありました。
心の余裕ができたせいか、これまでとは異なる魅力をもつお仕事と巡り会うことができました。
「やめる」ことは自分を否定することじゃないということ。むしろ、自分を大切にするための選択です。手放す勇気が、思いがけない幸せなキャリアへの扉を開いてくれるはず。
<幸せになるキャリア構築術 No.341>