ミッドライフの「このままでいいのかな?」を見逃さない

5月17日 日本経済新聞電子版の記事に目がとまりました。
55歳で音大合格、教員目指すの遅くない 富士通を早期退職し挑戦
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD247EP0U6A420C2000000/
(有料記事)
全文を引用することはできないのですが、要約すると以下のような内容です。
国立音楽大学3年生の山浦修さん(57)は、30年近く勤めた富士通を早期退職し、学生たちに交じり、ピアノや声楽、教職課程に取り組みながら音楽教員を目指しています。
新卒で百貨店、29歳で富士通に転職後はeラーニングなどのシステム営業として激務をこなし、管理職になると責任が増え不摂生が続き、45歳の時に医師から「1年持たない」と宣告されます。精神的にも限界を感じ、「このままつまらない人生でいいのか」と自問。そんな折、子どもの発表会をきっかけにピアノを再開。 山浦さんは子どもの頃に習っていたピアノを小5でやめ、以後音楽とは遠ざかっていました。 ところが意外に指が動き、練習の楽しさに没頭。国立音大出身の先生のジャズ講座やオープンキャンパスで憧れが再燃。
しかし、50代で脳腫瘍により右耳の聴力を失い、大腿骨壊死の手術を受けるなど大病を経験します。周囲の同僚の死も重なり、「やりたかったことをやりきろう」と決意し、53歳で本格的な受験勉強を開始。
2024年、初受験で国立音楽大学音楽教育専修に合格。50代後半と60代ではやれることは大きく異なると思い、退職を決断します。
現在は30歳以上年下の同級生に囲まれ、「一番の落ちこぼれ」と自覚しながらも、謙虚に学び、交流を深めています。
来年には母校の高校で教育実習を控え、59歳で教師としてスタートします。激務のサラリーマン人生から音楽教員への転身です。「人生をやり直す勇気と努力の結晶」と記事は結ばれています。
山浦さんの経験から学べるところは3点あります。
1.45歳の時に人生を振り返ったこと
忙しい日々で役割が大きくなっている時は、その責務を果たすことだけに一生懸命になってしまい、他のことに目が向きにくいもの。
体調を崩したとしても、自分を追い込みもっとダメージを負ってしまうケースもよくあります。
しかし山浦さんは、45歳という会社からも期待される年代、そしてミッドライフクライシスの入り口において、「このままつまらない人生でいいのか?」と、別のことに目を向けエネルギーを注ぎます。
ここで自身の興味関心を見逃さなかったことが次につながりました。
2.大学に合格した時に「50代後半と60代ではやれることは大きく異なる」と一歩を踏み出したこと
あと数年で定年だった山浦さん。悩みどころだったと思われます。
しかし、50代後半と60代は確かに違うのです。残念なことに60代になると体力や集中力の変化を感じる方も少なくありません。
だからこそ、やりたいことがあるなら一日でも早く始める価値があります。数年の遅れがその後に大きく影響します。一日も早く新しいことにチャレンジしたことは本当によい決断だったのではないでしょうか。
3.50代後半から音楽大学で学ぶという挑戦をすること
中年以降に医学部に入り医師になったり、法学部で学び弁護士になったりする例を時々目にします。しかし、音楽大学の入学は理論だけでなく実技(楽器演奏)があり、知識を学ぶだけでない難しさがあります。
諦めない心が不可能を可能にしました。
この3点とも大切ですが、強調したいのは、1.です。
私たちは往々にして、「このままでいいのかな?」という声を、不満やわがままとして打ち消してしまいます。しかし、その違和感は人生をより豊かにするための大切なサインかもしれず、その後の幸せなキャリアへつながる可能性があります。山浦さんのように、それを見逃さず、立ち止まって考えることが重要なのです。
「このままでいいのかな?」は みなさんにとっても大きなチャンスかもしれません。

